認知症になると、大人しかった人でも
急に暴言や暴力などの周辺症状が出てくることがあります。
これを見て介護する家族などは
「認知症のせいでうちのおばあちゃん(おじいちゃん)は人が変わってしまった」
と、ショックを受けてしまうことがあります。
確かに、急に大人しかった家族が「バカ!」とか「あっちに行け!」など言うようになったら戸惑ってしまいます。
しかし、ここで立ち止まって考えてほしいのは今回のタイトルのように
「その人が変わってしまったわけではない」
ということです。
前提として認知症の当事者は「正しく物事を理解(認知)することが苦手」になっています。
そのため、予想外のことが起こったりすると一時的にパニックになったりします。
「行動の選択肢の幅が狭くなる」
という表現がマッチするでしょうか。
しかもこれら行動は日によって登場の仕方がバラバラ。
昨日は怒り狂っていた、泣いていたかと思うと、今日は穏やかなんてことはザラにあります。(季節によって違ったりなんてことも)
しかも
当事者の気持ちが不安定な時に心がけたいことがあります。それは、
「安心感」
です。
もちろん、どんな時でも魔法のように解決できるわけではないですが、
少なくともご本人の気持ちを整えることで、穏やかな方向に持っていくことができます。
若い頃、楽しかった頃の思い出の写真や品物を一緒に眺めたりするのは非常に有効です。
他にも昔好きだったモノやコトなど、ポジティブな想起ができる対話を心がけるのが良いとされています。
昔話の有効性については認知症研究の第一人者であった故長谷川和夫 先生も著書の中でお話されています。
https://amzn.to/3EjkrFn(認知症でも心は豊かに生きている)

そう、認知症になっても心は豊かに生きている。
その人自身が変わってしまうわけではないのです。
これからの世の中、認知症に罹患する人はしばらく増え続けます。
認知症当事者の心の豊かさを保てるように周りがサポートできる
そんな環境づくりが大切だと思います。