みなさんこんにちは。
今回の書評は熊本で理学療法士をされている川畑 智先生「マンガでわかる!認知症の人が見ている世界」です。
私は日常的に医療・介護に関わる中で、認知症キャラバン・メイトの活動を行っています。
そこでは
・認知症はどんな病気なのか?
・認知症の人への望ましい対応はどんなものか?
・認知症の人の見ている世界を想像してみる。
というようなことを地域住民の皆さんにお伝えしています。
そしてその内容は今回紹介する「マンガでわかる!認知症の人が見ている世界」を大いに参考にしています。
タイトルを見てわかるように本書にはマンガがふんだんに盛り込まれており、活字が苦手な方でもすんなり読めてしまいます。
私の紹介するトピック以外にも、非常に学びの多い書籍ですので、ぜひ読んでいただきたいです。
こんな方におすすめ
本書は認知症介護に関する書籍です。
一般的に考えて本書がおすすめなのは以下のような方です。
・親や親戚、知人の認知症が気になる方
・医療や介護の現場で働いている方
ですが、私は上記以外の方(日常的に認知症と関わりのない方)でも一度は読んでおいてほしいなと思います。
皆さんにはご家族や知人がいらっしゃいますか?
それは両親でしょうか?
兄弟?
祖父母?
旧友?
会社の仲間?
私たちはこれらの方々や自分を含め、いつ認知症になってもおかしくない状況にあります。
認知症当事者の見ている世界をすこしでも知っておくことは、本人にとっても、介護する側にとっても大変重要なことです。
ぜひ一度手にとって読んでみることをオススメします。
キーワードは「安心感」
「良質なケア」
医療・介護現場の常套句で、たった5文字ですがなかなか悩ましいものです。
認知症というと世間のイメージでは
・何をしでかすか分からなくて疲れる
・本人は楽でいいよね。だって何もわからないんでしょ?
というような悲しいイメージがあります。
著者いわく、認知症ケアにおけるキーワードは安心感だと言っています。
ご本人が何を考え、何を求めているか想像できれば、どう接すればご本人に安心してもらえるかを考えられるようになる。
このように著者は語っています。
そして本書ではマンガでこれがイメージしやすいように構成されています。
そして読むのにそこまで時間がかからないため、非常に読み返しやすいです。
一つ注意しなければいけないのは、あくまでマンガであるため一件落着の描写が多いこと。
認知症ケアにおいては相手が人である以上、正解は一つではありません。
どんな状況かは人によって異なります。
ですので、あくまで参考にするということを念頭に置いておきましょう。
認知症当事者の世界と、認知症ではない人の違いを考える
認知症当事者(アルツハイマー型認知症)は脳の中の海馬が衰えてしまっており、
覚える・覚え続ける・思い出すがとても苦手です。
特に認知症初期の方や軽度認知障害(認知症の前段階)の方は上記画像のような「あれ?どうだったっけ?」という状況を生きています。
ですので、ご本人を驚かせない・急がせない・自尊心を傷つけないことがとても大事です。
みなさんも日常生活で頭が回りにくい事があったりすると思います。
認知症ケアでは、そんな当事者の生活動作をサポートすることが非常に重要です。
著者はそんな当事者が日常動作で「気づく」ことをサポートすることを
プレ(事前の)コミュニケーション
と呼んでいるのだそうです。
そうすることで、本人は安心した心持ちで気づいたり、動作することができるというのです。
繰り返しになりますが、どんなケアが適切かは人よって異なります。
あくまで私たちは当事者がどうすれば安心感を持てるかをじっくり観察し、考える必要があるのです。
認知症の人も怖がっている
私たちは認知症の人を怖いと思ってしまう傾向にあります。
なぜ怖いと思ってしまうのか?それは
認知症のことがわからないからです。
人間は本能的にわからないものを怖がります。
著者いわく、認知症の人も同じなのだと言います。
自分がどうなってしまうのか怖いのです。
みなさんなら怖がっている人が身近にいたらどうしますか?
「大丈夫だよ」と声をかけるのではないでしょうか?
そうやって認知症の人の心に寄り添い、理解することが認知症ケアの第一歩だと思います。
ぜひ本書を呼んで、これからの大介護時代に備えてほしいと思います。
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